灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

ホワイト・イブ

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デパートの階段を駆け上がっていた
 
外は雪が舞っている

大切な人との待ち合わせ



(すてき! ホワイトクリスマス)

そう言ってブレザー姿の君は空に手をかざした

17歳のあのイブ…


あれからどのくらい経ったのだろう…

(ねぇ 雪が降ったら またイブに雪が積もる事があったら ここで逢いましょ 約束よ!)

(たとえ 離れていても!?)

そういったボクに君は哀しげにうつむいて

(来れない時は 来なくてもいいわ でも私はきっといく)



あの約束をボクは覚えてる

このデパートの屋上で君は待ってる

でも どうしてだろう

階段をうまく上がれないんだ

どうしてだろう…  そうか ボクは ボクは




屋上の片隅のベンチには

中年の女が独り

空を見上げていた

(あなた 一緒に暮らして長いことこの日を待ちましたね 

あなた ほら こんなに…………天国でもこの雪が見えるかしら)




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