灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

時代

年老いた 王様は亡くなり 長い時代は幕を閉じた 王様の子供達は すでに老年に差し掛かっており 残務処理に追われた 目玉焼を焼くように 新しい時代は始まらない 晩年はいのってばかりで 何もしてない様に見えた 王様だったが 亡くなってみると 皆の心に大き…

スイバリ

長い事手の平に突き刺さっていたスイバリが取れた。義父の死とは何も関係ないだろうにあれだけとろうとしても取れなかったのに 自分からスルリと出てきた。

随分昔に書いた短編

サーリャ爺さんの逝く日 青々とよく晴れた日でした。 サーリャ爺さんはいつもの時間に目を覚ましました。 ヤギのミルクを入れたチャイを片手に家の外に出ました。 見渡す限り青々とした麦畑が広がっています。 傍らで犬のポコポコが尾っぽをふって挨拶します…

旅立ちの時

私の義父が旅立ちました。 98歳という年齢を考えるとこれは尊敬し祝うべき旅立ちでした。 妻と結婚してから38年、義父は私の心の中である意味 越えようとしても越えられない高い大きな山のような存在でした。その存在を身近に感じて生活をすることは、ある…

義父は執念だけで生きている

救急車で運ばれてから1ヶ月過ぎた。義父の容態は日によって多少の差はあるものの確実に悪くなってゆく、98歳という年齢を考えれば早く楽にしてあげたいのだが、本人は生き延びようという本能からくる執念で今日もまた生き延びる。それがいいことなのかわるい…