灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

物語れない

導火線をくわえた猫は 闇の中を疾走する そして人々は 終点のない汽車に 乗っている 窓の外の景色は 昨晩ペンキで 描いたもの 勢いのよい 水流は 蛇口と地面を 繋げる もう出てきてもいいよ 薬局で貰った薬には 他人の名前が セシュウムの半減期は 残された…

申し訳ありませんが

避難する人で 駅はごった返していた 私は待合室で列車を待っていた 切符は持っていなかった 上りに乗るか下りに乗るか 決めかねていた もうしわけありませんが 振り返ると 若い女が手に抱いた赤子を 俺に抱かせた 赤ん坊は私の顔を観ると泣いた 困ったことに…

恐怖の浜通り

福島原発から15キロにある鉄腕ダッシュ村 この番組のファンでした 残念です 僅か三時間の間に… 2011年4月11日 19時09分 2011年4月11日 19時5分ごろ 福島県浜通り 3 2011年4月11日 19時05分 2011年4月11日 19時2分ごろ 福島県浜通り 2 2011年4月11日 19時03…

極東

セシュウムの粒子降り注ぐ中で ボク達は並んでお笑い番組を観ていた ヨウ素まみれの水を口に含んで 君にそっと愛をささやく 振り返れば一億二千倍の海 風のなかにストロンチュウムのざわめきが聞こえる 裂け目の中を覗いていたら ふとここが大きな裂け目であ…

羊の群

哀れな羊は 殺される前に 一声だけ泣いた 狼は柵の外から それを見ていた 殺したのは 狼じゃない 羊の親は 狼の事だけを 子供に教えた そう云う訳で 狼を見ると 半狂乱になって 暴れた 空砲で 奴らを追っ払った後で ご主人様は 喉笛をかっ捌いた 陽気な鼻歌…