灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

その日の夜

あたりはもう暗くなってた 自宅のある住宅街にはいるとライトの光の中を どこかのミニチュアダックスが車を追いかけてきた 2百メートルくらい走って車庫に止めた車の下に潜り込んだ 懐中電灯でテラスと茶色い二つの目でボクに何かを訴えていた 何かを知らせ…

年間三万人の自殺者

森の中で裸で暮らしていた頃は 自殺するものなどいなかった 例えば狂人が出ても聖なるものとして そのまま受け入れ尊ばれた 快適な暮らしを夢見て我々は森を出た 街には高層ビルが建ち並び車が溢れた 資本主義が続くためには 必要以上の商品を人々に買わせ続…

夢の中の光景

遠い昔 夢の中で見た光景 少年の私はその光景に 唖然として立ち尽くしていた 今日何十年かぶりにこの光景に出会った 違っていたのは 頬を撫ぜる風 車の騒音 そして私の息遣い 長い道のりを経て 漸くここへたどり着いた さて、これから どこへ行くのだろう か…

Everything with nothing

船は選べないから その船で海へ 天気は選べないから 嵐がくればそれもまたよし 同船者は選べないから 誰にも笑顔で接しよう 行先はわからない潮任せ風まかせ 波の高さにへこへこ 海の広さにげろげろ 夜空の星にめろめろ やがて時が来て船がどこかの島に着い…

特別枠

宝くじを買ったとき見知らぬ男が話しかけてきた 「たまには当たりたくないですか」 「そりゃ~当たりたいさ でもねそう簡単に当たらないんだなこれが~」 男はウインクしてついてくるように言った 男に連れられて入った珈琲ショップの中で男は声を潜めて言っ…

螺旋

多くの人の嘘の上に 不安な楼閣は揺らいでいる 風向次第で逃げ場所も変わり 作り笑いの内に毒を隠す 1.6キロのシーソーの端に腰掛け ビーカーの中に沈んでゆく太陽を見ていた 感情が理性を手こずらせ 幸せはアセチレンライトを浴びて褪せてゆく 運命を受け入…