灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

too late or early

我々は月の裏側で未知の物体を発見したとNASAの報道官は興奮気味に捲し立てた。 送られてきた映像を見ると巨大な長方形の石板の様な物が月面に斜めに突き刺さっているのが分かる。 早速 国連の主導で国際調査隊が編成された。 各種の訓練の終え、5年後には宇…

ギィ~ あの日奇妙な音に私は思わずあたりを見回した。 犬と散歩中の私が排泄物を片付けようと公園の植え込みの中にしゃがみこんだ時だった。 そこは大きな自然公園で奥には火葬場が隣接してあり横は入り江に隣接していた。 大きな楠の木の向こうに視点が張…

六月

植えて20年近くなる琵琶の木に 今年初めて実がついた 橙色の実は全部で6つだった 6月6日に 公園で拾った犬が死んだ 十年近く家族だった 庭の大きな石の向こうに埋めた 綺麗好きな犬だった 寝たきりになってからも 排便をするたびに悲しい声で泣いた そうい…

困った事に

我儘の限りを尽くし したい放題を繰り返し 周囲を散々な目に遭わせ それでも肝心な大きなところでは間違ってない 或いは 日々の生活では思いやりもあり 忍耐も協調性もあり申し分のない人なのに 大きなところで間違う これだから 人生は面白い キリストや釈…

誰か私の犬を知りませんか?

誰か私の犬を見なかったですか? そうです 琥珀色の毛と 優しい目をした奴なんです いつもこの道を 私の傍らを歩いていました ほらここでよく綱を放していたでしょう あなたも見た事あるでしょう あの優しい犬です 誰か私の犬を知りませんか? ヨタヨタとこ…

そして私は犬を失くした

何も言えない奴だったけど いつもじっと私を見ていた 嬉しい時も悲しい時も いつも私の方を向いていた 私は良い飼い主ではなかったから 抱きしめてやることもしなかった 時たま気まぐれに荒々しく触るだけ それでも嬉しそうに尾を振っていた あの夏の日 ひど…

お前の不在

生活のそこかしこから オマエの存在を証す薄いベールが消えてゆく もうこの世のどこを探しても オマエはいない あの嬉しそうな顔も さりげない優しさも 記憶の中に退いてゆく もっとたくさん 抱き締めるべきだった もっとたくさん 共に過ごすべきだった これ…

唐突

けさ犬が死んだ 朝の三時過ぎだった 寝たきりになって 二時間おきにオムツとマットを交換していた 今朝の一時から三時の間に変わり果てた姿になっていた パジャマのまま庭にスコップで穴を掘った 根や石が邪魔をして掘り終えるまでに一時間くらいかかった 穴…

通夜の席で

94歳の伯父は絵を描く事が好きだった 大きな展覧会に入選した事もある 幼い頃アパートの三畳の部屋には 伯父の描いた九重の絵が飾ってあった その伯父の訃報が今日届いた 通夜の式典が終わり 伯父の顔を従兄弟たちと並んでみていると 未亡人になったばかりの…

今日の1枚

久々の洞海湾の日の出 朝もやを突いて船は外洋へ出てゆく

ランダム

君を気儘に遊ばせるために 百人の奴隷が足を鎖で繋がれて 24時間狭い船底でオールを漕ぎ続けている 自由とはそういうものだ たとえ君の眼に見えなくとも 君の為にアジアやアフリカで オールをこぎ続けて一生を終える者がいる 君は単に生まれた場所が良かった…