灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

唐突

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けさ犬が死んだ
朝の三時過ぎだった

寝たきりになって
二時間おきにオムツとマットを交換していた

今朝の一時から三時の間に変わり果てた姿になっていた

パジャマのまま庭にスコップで穴を掘った
根や石が邪魔をして掘り終えるまでに一時間くらいかかった

穴の底に犬を寝かせ土で覆った

汚れたシーツやオムツはビニール袋に入れ会社の焼却炉で燃やすつもりだった
泣き崩れる妻と娘をしり目にてきぱきと片付けてゆく

誰もいない会社について焼却炉までそれらを運ぶ途中で
唐突に悲しみに襲われた

込み上げてくる嗚咽を抑える事も出来ずに
私はひざまずいて大声で泣いた
かっての奴の優しい面影と
今朝の変わり果てた姿が
激しく心を揺さぶった
ごめんごめんと
心の中で叫んでいた
文句ひとつ言えないやつだった

それだけに不憫で
自分自身が情けない

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