灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

抱きしめた手を離せ

ちがうちがうそんなにわかりやすい顛末などない ほらオマエが抱きしめたその腕の中で冷やかに笑っている そして囚われたのはオマエ 獲物は私自身なのさ もっともよく信じた筈の者がもっともひどく裏切られる 身構える隙さえ与えず立ち直る容赦さえなく 抱き…

トライアングル

三角形の一つの角が崩れた時 不思議な事に残った二つの角は繋がらない 崩れた一つの角の方に引きずられ やがて全体が崩壊する その事を見抜ける者は少ない 崩壊を防ぐ手立てを持つ者はさらに少ない 為す術もなく見送りながら 実は勝者は敗者の別名だと思い知…

空なる書

ありえなかった話を語るのはよそう 今見えるものが全て それ以外は何もない 大切なものがある人は洞窟に残りなさい あるいは大切な何かを守りたければ 洞窟を出で戦いなさい 大切なものもおのれ自身さえも 何もかも捨てた人だけが 激流に翻弄されながらも生…

あなたの中にボクはいない(ある小説のためのモチーフ)

あんなに愛したあなたが暗い波間を漂っている けれどボクには何も出来ない あなたの心の中のボクはもういないから 昔のように叫んでみても 君には届かない 抱きしめても燃え上がらない あなたはため息をついて遠くを見ている 透明な日々を風が吹き抜けてゆく…

一寸先は闇

極楽の向こうにはほら地獄が口を開けて待っている 餌を手に入れた刹那に自身が獲物となり果てる それが変わらぬ実相 今の無事を感謝しよう 明日は明日に任せよう 今出来ることを命を懸けて愉しもう いつ死んでも悔いが残らぬように 運命の一撃をにっこり笑っ…

形而上

磨かれた言葉の列は 鋭利なナイフとなって あなたの柔らかな部分を抉るでしょう ミズカラノ毒にのたうちながら それでも神と繋ぐ手を離しはしない 安堵と後悔 恍惚と懺悔 光と闇の交錯する世界の中で あなたの実存は輝きます 進め 退がれ 泣け 笑え 大きなテ…

微かにholy night

風は岬を越えて こちらへ吹いてくるでしょう 私の体を吹きぬけてゆくでしょう もうすぐクリスマスだというのに プレゼントを買う相手もいないし 山もりの洗濯物を洗い続けるような 日々が続いています ささやかな幸せの時代は去ってしまいました 苦しみの向…