灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

抱きしめた手を離せ



ちがうちがうそんなにわかりやすい顛末などない

ほらオマエが抱きしめたその腕の中で冷やかに笑っている

そして囚われたのはオマエ 獲物は私自身なのさ

もっともよく信じた筈の者がもっともひどく裏切られる

身構える隙さえ与えず立ち直る容赦さえなく

抱きしめたその手で絞め殺す

交わした舌を噛み血切る

そうやって女は生き延びる

まだオマエに息があるなら

放しておやり

彼女はオマエが思っているほど

やわじゃない

寧ろ心配なのはか弱い私自身なのだ

全ての思い出が色褪せることに

果たして耐えられのるか

ロマンスからリアルへの道を

転がり落ちるだろう

そして女は初めから

そこにいる
イメージ 1