風は岬を越えて
こちらへ吹いてくるでしょう
私の体を吹きぬけてゆくでしょう
もうすぐクリスマスだというのに
プレゼントを買う相手もいないし
山もりの洗濯物を洗い続けるような
日々が続いています
ささやかな幸せの時代は去ってしまいました
苦しみの向こうには
やはり苦しみがあるのでしよう
だから私は立ち止り
静かにため息をつくのです
私のさびしい時代は
まだ始まったばかり
淡色の生活に慣れるころには
私はすっかり変わり果てていることでしょう
あの日あなたが倒れてから
あなたでなくなった
あなたの抜けがらを
ゆっくりと温める毎日です
今も
私の背中には一本のナイフが
刺さっています
その痛みに耐えながら
動きを止めたら溺れてしまう様な日々が過ぎてゆきます
だから もう少し待っていてください
私だけに吹くこの嵐の中を
背を丸め涙を拭う余裕もないままに
あの曲がり角を曲がるまで
おぼろげに私を見逃してください
人生にゆっくりと手篭めにされてゆく
この私を…
変わり果てた
私を見て
それでもいいよと
囁いてくれたら
私はまた生まれ変われる
かもしれません