灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

年間三万人の自殺者



森の中で裸で暮らしていた頃は

自殺するものなどいなかった

例えば狂人が出ても聖なるものとして

そのまま受け入れ尊ばれた

快適な暮らしを夢見て我々は森を出た

街には高層ビルが建ち並び車が溢れた

資本主義が続くためには

必要以上の商品を人々に買わせ続けなければならない

その為に間断なく欲望を刺激する

人々をある種の興奮状態にすることで

この社会はどうにか続いている

終われないダンスのように

趣味の悪い毎日が続いてゆく



三万人の死者達の呻きが聞こえるような

今夕の空だった

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