灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

時代

年老いた
王様は亡くなり
長い時代は幕を閉じた

王様の子供達は
すでに老年に差し掛かっており
残務処理に追われた

目玉焼を焼くように
新しい時代は始まらない
晩年はいのってばかりで
何もしてない様に見えた
王様だったが
亡くなってみると
皆の心に大きな穴が空いてしまった

誰もが皺だらけの王様の顔を思い浮かべる
今更ながらに王様の偉大さに気付く
でも去るものを追っても
何も変わらない
その事は皆分かっている
けれど溜息がでる

時と言う名のホースで
総てを洗い流してしまおう

そうすれば新しい草が
生えてくるからね
王様の棺を埋め尽くすように

新しい王はそこに腰掛け
疲れ果てた背筋を伸ばし
目蓋の腫れた顔を歪めて
無理にニヤリと笑ってみる

新しい時代の幕が開く