灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

我々

君は
YouTubeで特攻隊と入れ検索する
特攻隊員を処刑する…という動画をクリックする
そこには特攻機から放り出された一人の青年が波間を漂っている
ジャパニーズカミカゼボーイ…と英語のニュース解説が流れる
青年は助けを求めるでも逃げるでもなくただ呆然と波間を漂っている
艦上の海兵隊が指差して何か笑いあう
一瞬さすが人道主義アメリカ助けるのかな!?と思いがよぎる
次の瞬間機関砲で青年は粉々にされる
君は心に奇妙な痛みを感じる
その痛みは嘗て感じた事のない痛みだ
君は微かに喘ぐだろう


昨日この国を代表する勇敢な漢(オトコ)が処刑された
彼もまた呆然と行過ぎるのがピースボートではなく
そこに殺人兵器を満載した航空母艦を見てしまったのだろう

そして
君もまた処刑された青年と何も変わらない
ただそれに気づいていないだけだ
そうさ我々はまだ冷たい波間を漂っているのだ
目の前を通り過ぎる殺人兵器に
自分勝手な幻影を見ながら…

この頃そう思えてきた