灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

赤いランドセル

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その日
バアが買ってくれた
赤いランドセルをのせたまま
みいちゃんの丸いテーブルは
大きな波にさらわれて
暗い海のそこを彷徨っています
そこはおととの席
そこはおかかの席
そしてバアのとなりが
みいちゃんの席
いまはもうだれもいないテーブル
もうみんながそろうこともない

みいちゃんの家が
どうしても見つかりません
犬のシロも猫のミケもいなくなりました
みいちゃんはバアと二人
避難所の中でおとととおかか
待っています
バアは毛布に包まって
うんうん苦しんでいます
外は雪ん子が降っています

おとととおかか
手をつねいで暗い海の中を
みいのランドセルささげして
どこさかありいていってる
シロとミケもいっしよだかや?
うんだ

バアはそういうけど
アタスはランドセルはもういらねぇから
はやくけえってきて
けえれないなら
なして!
おとと!おかか
なしてアタスも
連れていかなかった
なして…