灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

生い立ち


ボクたちは吹きっ晒しの教室に集められた

生徒は母のない子ばかり 
片足のない犬も混じっていた


教壇の机には白い撫子が一輪活けらていた

皆休み時間になると遠くの風景を見ていた

誰もがもう涙を流して泣くことはなかった

年老いた教師はゆつくりと噛んでふくめる様に教えた

そこでは穿った見方だけを教えられた
素直に笑うことは禁じられていたl


教室の中を一陣の風が吹き抜けた朝
ボクは教室を後にした

ボクの毒を中和する
底抜けに明るい女と出会うために

海沿いの道を歩いた
少しばかりの荷物を背負って
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