灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

あだし野

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風に揺らぐ薄の穂波の中で
進むべきか引き返すべきか
私たちは何度も立ち止った
風は冷気を孕んでいて
氷の季節は雲の向こうに控えていた

進むしかないことは
誰もが皆知っていた
それでも心を過る一抹の不安を
口に出せずにいた
言葉にならない言葉は足取りを重くした

それでも私たちは
進まなければならない
この道がどこへ行こうと
季節に追われ空腹に苛まれながら
トボトボと歩いてゆく

向こうに何があるのか
それは考えないことにした
過ぎ去るもの過ぎ去ればいい
命あるものは生きてゆけばいい