灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

或る…年金問題

イメージ 1

困りましたね、担当者は腕組して顔をしかめた

何故、国籍を取得する努力をしなかったんですか
はあ、こんな時がくるとは思わなかったものでつい・・・・
あなたの事はよく知っているので、なんとかしてあげたいのはやまやまなんですが
お願いします
そう言われましても、この状況を見て下さい
我々も年金記録詐称や改ざんの問題で目の回る忙しさなんです
それに基本的に加入してない者には受給資格はないんですよ
そこをなんとか これを見て下さい
ふむ なになに… ベムラー バルタン ネロンガ ラゴン アントラー
これは倒した怪獣の名前じゃないですか 
若い頃には随分と社会の為に貢献された方にこんな事言うのは心苦しいのですが、
担当者として率直に申し上げます。
残念ですが、年金も生活保護もどちらも無理なんです。
今はなにしろきちんと払った人でさえ貰えない時代なんですよ!
ほら 後ろをごらんなさい並んでいるのは皆そういう連中なんですから まったく困った事に…
御引き取り下さい!

はい 次!


がっくり肩を落として役所を出た
年老いたウルトラマン
今はもうふり返る人もいない

この作品はプログ村ショートショートコンテストに参加しています どうか応援してください】
↓ここをクリックしてね
[https://novel.blogmura.com/ にほんブログ村 小説ブログ]