灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

バカボンの父




ボクは日々の仕事をこなし
飯にありつく
レンジのスイッチを捻り
お湯を沸かす
ぼくに出来るのは
大体それぐらいだ

秀才達はシステムを維持しょうと
知恵を出し合っている
少しでも秀でて
群れの足並みを揃えるために
日夜凌ぎをけずている

天才達はそれぞれの
隠れ家で自分の仕事に没頭している
それは意図せず新しいシステムを考え出したり
あるいは群れの方向を変えたりする

たまに生まれる聖人達は
よく澄んだ目で遠くまで見通せる
彼らの見たものは彼らにしか見えない
それは群れを待ち受ける闇の中にある
守る事を諦めて群れを離れたり
また十字架に掛かってみたりする

ボクはいま群れの只中にいる
中にいるものに時代の足音は聞こえない
人々の喘ぎや悲鳴は聞こえない
今は静かな日曜の朝
ボクは寝屋を出て
レンジのスイッチを捻り
コーヒーを入れる

ボクに出来る事は
大体それぐらい

これでいいのだ

バカボンの父を真似て
呟いてみたりする