灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

トボトボ

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考えたくもない事
それはオマエがいなくなる事
 
その時初めて
一番大事だったのはオマエだったと気付くだろう
そしてそれが遅すぎた事 
もう手遅れである事に愕然とするだろう
 
あらゆることを惰性で続けながらも
幾日も幾日も一人になると泣くだろう
酒も好物も競馬ももうどうでも良くなる
装うこともやめて風呂に入る気力もなく
育てている花に水をやるのも億劫になり
携帯もスマホも投げ捨て
人付き合いに耐えられなくなり
ある日姿を消すだろう
 
年老いた犬と二人
トボトボ歩いて
 
トボトボ
 
トボトボ
 
あるいて
どこか知らない海まで歩いて
薄汚れた防波堤の上で
年老いた犬を抱き締めて
静かに目を閉じているだろう
 
瞳の裏のオマエの姿を追い
耳に残ったその声をきく
何度でも何度でも繰り返す
 
オマエの消えた世界で
少しずつ消えてゆくオレ
繰り返す波のように
少しずつ
少しずつ