灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

いぬ

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毎日餌を与えているだけでは
ゆっくりと腐れてしまう
暖かい声をかけて摩ってやっても
嬉しそうに懐くが
生き生きとまでは行かない
生き生きさせるには
鎖をはずして野山を思いっきり駆けさせたり
野良猫やウサギを追わせたり
他の犬の尻を匂わせたり
異性の犬にあわせたり

でもそれは
叶わないこと…
時折ハメを外してやっても
彼女はゆっくりと腐ってゆく
文明という人間のエゴの中で
それは仕方が無い事かもしれない

江戸時代までは
庶民に犬を飼う習慣はなかった
犬はその辺にいて
勝手に暮らしていた
伊勢参りの使者として
白い犬が現れると
皆でその犬をお伊勢様まで連れて行ったりした
いまでも途上国へいくと犬はその辺をうろついている

犬を飼うのは西洋の習慣
牧畜民族の彼らは犬を厳しく飼いならした
仕事のパートナーとして
この国は脱亜入欧で彼らの表面だけを真似た
農耕民族で在りながら牧畜民族のスタイルを取り入れた
こんな狭い所で犬は鎖に繋がれている
かれらは代表する議員も支持する政党もなく
選挙権も話す口もなく
ゆっくりと腐って行く

あなたとわたし