灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

鷺家の子

 
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彼は打ち負かそうとして
やってきた
彼には5000人を下らない弟子がいたし
幾多の論争を勝ち抜いてきた
当代一流の学者だと皆に持て囃された
今で言えばハーバードの哲学教授とでも言ったところか
知識は誰にも負けない
負けるはずが無い

本物の智者が居ると聞いて
矢も盾もたまらずやってきた
さあ論争を始めよう
私には誰にも負けない豊富な知識と強い意志がある
かかってこんかい かもん

男は笑って言った
論争はしよう だがまだ早い
一年だけここで黙していなさい
そうすればあなたの相手をしよう
鷺家の子は仕方なくそこに1年留まった
闘わずに去ることは彼のプライドが許さなかったのだ

彼はそこにいて寝食を共にし
その男の説法を聞いた
最初のうちはそれは違うと口を差し挟みたくなったが
黙しているという約束だったので地団太踏んで我慢した

そしてようやく1年が過ぎた

さああなたは約束どおり
1年の間黙していた
では望みどおり論争を始めよう
何からいく
人の生死についてか
それともこの広大無辺な大宇宙についてか

いえ 私を弟子にしてください
そういって鷺家の子は跪いた

間に合ってよかったな
男はそういって笑った
 
 
作者注
舎利弗(しゃりほつ、サンスクリットŚāriputra シャーリプトラ、パーリSāriputta サーリープッタ)は釈迦十大弟子の一人である。
シャーリー(サーリー)は母親の名前で「」を意味し、プトラ(プッタ)は「弗(ホツ)」と音写し「子供」を意味するため、漢訳では舎利子とも表される。つまり直訳すれば「鷺家の子」という意味である。
釈迦弟子中において、智慧第一と称される。舎利弗目連を特に二大弟子と呼ぶ。
般若経』など大乗の経典では、小乗を代表する長老の仏弟子として登場することが多い。『般若心経』の舎利子は、この人物のことである
以上ウィキペディアより抜粋させていただきました