灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

約束

イメージ 1

年老いたライオンは
落ち窪んだ虚ろな眼で佇んでいる
鋭い目で獲物を狩ったのは遠い昔
今は細かく砕いた餌を喉に流し込む
大きな骨はそのままに日々痩せてゆく
大地を揺るがせる
咆哮も失われた
うつろな眼で咳を繰り返すだけ

疲れたウサギは
甲斐甲斐しくライオンの世話を焼く
その重い体を抱え色褪せた毛並みを整え
日々の餌を作る

かっては自分を守った
大きな体が今は徒となる
それでもウサギは抜け殻のライオンの世話を続ける
もう決して吠える事のないライオンと
決して見捨てる事のないウサギと
静かに秋は暮れてゆく