灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

それから

弔いが済むと
私達はまた歩きはじめた
大きな渦から逃れようとしても
大きく迂回していつの間にか
その中心へ向かっていた
 
ひしゃげた駱駝に似た老人は
前歯のない口でニィと笑った
これでも若い時は少しは輝いていたんだぜ
タンを吐くようにしゃがれた声で呻いた
 
 
排水溝の掃除に気付く迄は
誰しもまだ若い
盛りのついた犬みたいに
ケツの事だけ考えてれば
明日はやって来てた
 
排水溝の掃除が気になるようになったら
消えて行った人々の笑顔が一つずつ
思い出される
こうやって見知らぬ街を歩く間にも
自販機のコーヒーを啜る間にも
心は物悲しい
 
木がビルに変わっただけで
何一つ変わってないよ
 
だからさ
生き延びることが
肝心なのさ
たとえ恥を晒してもね.....ne.jp
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