灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

のこ

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その前の犬が変わっていた
何箇所かをフーテンの寅さんみたいに行ったり来たりしてた
吠えたり噛んだりする犬ではなかったのでそんな事が可能だったのだろう
彼女なりにローテーションを組んでうちにも時々やってきた
したがって沢山の呼び名があった
うちでの呼び名はのこである

彼女は公民館で生まれ育った
幼い頃心ない人に
針金でぐるぐる巻きにされて捨てられていた
その傷が前足と尻尾にあった
でも一番ひどいのは心の傷だった
誰にも心底なつく事はなかった
特に大人の男性に対しては
横目使いにみて警戒していた

助けてやった私にでさえ
緊張しているのが感じられた
でもユーモラスな面もあった
皿に移すと食べないので
ペットフードの缶を開け与えると
楽しみながら小一時間かけて食べるのだ
そして時々鼻に嵌まって抜けなくなるのだ

いつだったか
家族でキャンプに行って家を空けたとき
帰ってくるとのこは来ていて
心配そうに家の前で待ってた
その時は家族の顔を見ると
千切れかけた尻尾を
ちぎれんばかりに振って見せた

もちろんそれで我が家に居付くかというと
そんな事はなくちょっとしたすきに
いつの間にかいなくなって
またひと月ぐらいは来ないのである

そんな風だったから
いなくなったとき気づくのが遅れた
最近来なくなったね
どこかで正式に飼われたんじゃないの
そんな事を話しながらもう7年近く経った

いまでも時折
彼女がふらりと戻ってくるのではないかと時折思う事がある
顔はそっぽを向きながら
千切れかけて横を向いた尻尾を
さらに横に振る光景が目に浮かぶ



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