灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

カクテル

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どう待ち伏せをするかを
私とブブカ族の軍師は話し合った
約束の時を過ぎても
川は流れ続けていた
薬局で貰った薬
その裏面の注意事項に
書かれていたのだ

ゲームに参加するのは自由ですが
誰かの賞賛を期待してはいけません

ここにはセンチメンタルなナルシストしかいない
お得な話を持ち出しては車を売り付ける
セールスマンの男は反吐を吐いて逃走した
後には百円玉のぎっしり詰まった
ロバの皮をかぶった山羊が女々しく鳴き続けていた

ところでボクの番はまだなの
全部の弾丸を抜いたロシアンルーレットの継続で
次第に誰もが倦み疲れていたのだ

ゲートを開けよ
スターターの矢のような叫びに
もう考える事を止めて狂人たちは疾走を始める

それでも私は
奈落へと続くタテ抗の縁へ腰かけ
刷り上がったばかりの
ニューヨークタイムズを読むふりを続けていた
斜め後方からこちらを窺っている
トビ色の瞳の女を意識して
確かにそれは
他愛もない絵空事にたがわなかった

昔も今も
タメ息だけが
ここを支配していた