灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

甘い処世

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よく目を凝らすと
日常のそこかしこに
ある小さな亀裂

平穏な日々が過ぎ
何事もなければ
試されないこと

いったい
どのくらい
飢えたら
飼い犬は
私を食べるのか
いったいどのくらい
追い詰められたら
私は愛犬を
食べるのだろう

食べないか
食べるか
食べられるか
食べられないか
それは
その時にならないとわからない
それを知らずに
死んで行けるものは
幸いだ

だが
親をおぶって
山に捨てにゆくのと
老人ホームに
入れるのは
同じ心のなせるわざ
手の掛かる子を
施設に入れたり
意に沿わない
恋人を捨たり
そこかしこに
暗闇は口を
あけている

それはあなたや
私の心にある
闇だ

いったい
いくら積まれれば
人は裏切るのだろう

あなたは
いくら積まれれば
大切な人を捨てるだろうか
あるいは捨てないか

線路に落ちた人を
助けるか
見殺しにするのか

いったい
あなたはどちらの人間だ
自分のために
人を殺すのか
人のために
この身を
捧げるのか

そのことの
答えを出さずに
生きてゆく
出さなくても
なんとか
生きて行ける
私の毎日は
チョコレートパフェの
ごとく甘く
いい加減な
処世だ

でも
やがて
試される
時がくる
その時は
自分自身を
受け入れるしか
ないのだが…