灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

それでもボクは枯れてしまった鉢植えに水をやり続けた



奇跡は一度しか起こらない
目の前の現実を認めたくなくて
ボクは昨日の居心地を探した
事実を歪め真実には背を向けて
自分勝手なイリュージョンを投げつけた
耐え切れなくて彼女が悲鳴をあげても
優しい言葉すらかけることは出来なかった

ほら その花はもう枯れているよ
そんなに水をやっても蘇る事はない

ナップサックに荷物を入れて
みんなに別れの挨拶をして
入ってきた電車に乗って何処かへ行こう 
さよならと書いた紙切れだけをテーブルに残して

君はホッとするだろうかそれとも少し泣くのかな

人をどうしようもなく好きでいられるのは
三年が限度だと テレビの中で知らない学者が話すのが聞こえる

ひどく悲しい事だけど
それは あるかもしれない
駅のベンチに腰掛けながら
ボクはぼんやりとホームの向こうの景色を見ていた
街並みはすでによそよそしかった
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