灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

夕餉

太郎ベぇが見つけた鳥は
一風変わった鳥で
キジをひとまわり大きくした位の大きさで何か囀りながら
ゆっくりと近づいてきた
タレバtrをtrtrここぴぽぴぽ

背中には何か巻物のようなものを背負っていて
嘴を引きつらせて微笑みながら近づいてきた
見ると林の中には大きなお釜みたいなのが
木漏れ日を浴びて鈍く輝いていた

その日朝から出て
獲物をとれなかった太郎べぇには
そんなものはどうでもよかった
(ちいっと変わっちゃいるが鳥にはちげいねぇ)
太郎べぇは殺気を悟られぬようニコニコ笑いながら
慣れた手つきで弾を込めると火縄に火を点け照準を定める
タリタリタリ
鳥は太郎べぇの動作に危険を感じたのか
くるりと踵を返すと鍋の方にかけ戻ろうとした
ズドーン!
一撃だった 見事に命中した
鳥はもんどりうって倒れ
コノホシノダイオウニギンガコクヨリショカンヲ・・・
そんなわけのわらぬ事を叫びながら絶命した

羽根と思ったのは服だった
慣れた手つきで捌きながら
(変わった鳥だ、ひょっとしたら鳥でねかもしんねぇ)
むらおさに届けようかとも思ったがそんなことしたら貴重な獲物をとりあげられてしまうものな
目玉は目の悪くなったばあさまに かしこそうな頭は子供たちに喰わせるべ
巻物のようなものは捨てて帰ろうかと一瞬思ったがたき物にでもするべとかごに入れた

おっとう うめえ~この鳥はなんちゅう鳥だ
囲炉裏の周りで鍋を囲んで和やかな夕餉のひと時
メシ食うときにはなすでねぇ!

薪の中では銀色の筒が
いつまでも燃えずに残っていた
遠い異星のメッセージを中に入れたまま