灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

霹靂(へきれき)


そして亀は甲羅を背負い
鳥は手を羽根に換えた


犬は尾を振ることを覚え
蛇は手足を捨てた


我々は木から降りた
手で自由に殺すために



見たまえ!あの山の頂に
方舟はもうすぐ完成する

乗り込むのは 一人のセールスマンと
欲深な善人達



汝は静かに時を待て
バベルの塔が天に届くその日を


決済の済んだ事実しか
語られることはないだろう


破滅の序章は
ありふれた歌を口ずさんで片目を瞑る



物語れない物語は続いてゆく
読者はもういない