灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

呻き


ヒリヒリと喉の奥に漠然とした恐怖あり
背には突き立つ数本の見えない矢
腹部にはゆっくりと血を吸う蛭一匹
よく見れば道は所々崩れて奈落の底が口を開けている

皆 必死で逃げている
皆が逃げてゆく
その先は暗闇で
悲鳴だけが木霊する

漠然とした恐怖あり

刹那に滅びる
30億個の細胞の
呻きなのか

目を開ければ
何気ない日常が続いている

その事が
恐怖の核心なのだ

いまここに
安らかに旅立てる薬があれば
どれほどの人が飲むだろう

ふと
そう思った

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