灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

台風は遠くの街に上陸・・・

生き物のように風が傍らを渦巻いてゆく
煙突の煙は運動場のラインの様に水平に走る
俄かに寒い 秋の気配の中に冬の種子もまぎれている
暑さに慣れて弛緩した皮膚が身構える

嘗て幾度となく犬と歩いた道を 独り歩く

いろんな事があるだべさ
そうさいろんな事があるわいな

台風は遠くの街に上陸したと
イヤホンの中でラジオが呟く

陽はもうすぐ暮れる
歩いていればどこかに辿り着くだろう

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