灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

帰れない独り

 
どんなに仲のいい夫婦も
逝く時は別々だ
 
どんなに愛し合っても
同じからだになることはない
 
それでも我々には
装置が必要だ
 
愛という名の
友情という名の
親子という名の
家族という名の
もろもろの装置の中で
この一瞬を生きることで
流されずに踏みとどまっている
 
愛情を注ぐ相手
愛してくれる誰か
手をつなぐ相手
やさしい言葉を掛け合う誰か
 
欠けている装置を補って
猫が死んだら次の猫を飼って
装置の均衡を保ち
何とか生き延びるしかないのだ
この世を去るその日まで