灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

灰色のロバ (昔の書いた詩)

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ふと

気がつくと

薄汚れた

中年のロバとなり

見知らぬ川のほとりにいた



川面には雑多な漂流物が

ぷかぷかと漂っていた



瞳には

どんよりとした

風景が映っている



私は中年のロバ

腹だけでっぷりと太った

灰色のロバ

修羅の届ける

一杯のビールを糧とし

何の詮索もせず

驕らず 昂ぶらず

一切の企みも捨て

静かに川面を見つめていた





私は中年のロバ

無口で孤独なロバ


所々剥げたからだは

繕いようもなく

繕う気もなく

今宵もまた

見知らぬ河原に蹲り

漂いゆくちりあくたの類を

誰かの思いの果ての

残滓を

ゆっくりと

反芻する

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