灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

踏切

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その踏切では よく人が轢かれた
警報が鳴りはじめて遮断機が下りても
列車が来るまでには少し時間がある
だのに何故? 人は轢かれるのだろう

その疑問が解けたのは
自分がそんな目にあったからだ
踏み切りの途中で警報器が鳴りだした
私は突然動けなくなった
遮断機は下り 近づいてくる列車の音が次第におおきくなる
叫ぼうとしても声も出ない 足がまったく動かない
冷汗が背骨を伝い 下腹がスーッとあつ痒くなった

その時私は見た 線路の窪みから出た2本の白い手が
私の足首をしっかりと掴んでいるのを

あの日以来一人で踏切を渡れなくなってしまった


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