灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

2013-05-06から1日間の記事一覧

約束

もぬけの殻の四郎は小さな山の頂に立った 6年前美智子と交わした約束 「3年後のこの日に もしまだ好きだったらここで会おう」 美智子は涙をいっぱい浮かべながら細い頤を振って何度もうなずいた その様が健気で愛おしかった 二人は何度も抱き合って泣いた…

蛇子はいつも心の中にする声に悩まされていた それは例えば歩いているとき目の前に水溜りがあったとすると 「あれを避ければ良くない事が起きるぞ!」 心の中にそんな呟きが聞こえるのだ 気の弱い蛇子はズボズボと水溜りの中へ入ってしまう こういうことは度…