逃げおおせると思うなら
今の調子で逃げればいい
足を引き摺りながら
悪臭を放って
逃げてゆけばいい
誰もが笑って手を振るが
差し伸べる者はいない
さよならバイバイ
あんたと共に
逃げてくれるのは
1匹の黒い猫だけ
そして猫も消えるだろう
あんたの胡散臭ささに
嫌気がさして
独りになっても
あんたは逃げるしかない
行先などどうでもいい
ただ逃げるだけだ
目が潰れ
耳がとれ
腕が捥げても
逃げ続ける
今はそれしかない
何処かで朽ち果て
一粒の種を
取り巻く土塊に
なる
それだけのことさ