灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

傾いている

地球の地軸は23.4度傾いている
そのおかげで秋の後には冬がやってくる
もう街には木枯らしが吹き始めている

ボクの背骨も幾らか右に傾いている
ボクが不安定なのは
地球に四季があるようなものだ
地軸が傾いてなければ
面白みのない惑星だっただろう

それでもボクの背骨は
真っ直ぐのほうが良かったのかも知れない
そうすれば
こんな寄り道だらけの
人生は歩まなかっただろうし
詩なんか書く奴を軽蔑していたに違いない

毎日7時に家を出て19時に帰る
部屋の中はきれいに片付いていて
煙草を吸ったり競馬をしたりすることもなく
軍人のような生活を送っていただろう
堅い職業について教科書どうりの
笑い方をしたに違いない

でも案外野性のネコのような女に惚れて
嫌というほど振り回されて
ぼろぼろなっていたかもしれない
ボクはそういう奴だ
背骨が曲がっていようと
いまいと…

そっと背骨を撫でてみる