灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

もうひとつのひと

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女たちが産み育てている間に
男は頭を下げたり下げさしたり
勲章をつけたり蔵を金で充たしたり
高い塔を建てて殺し合ったりした

その間も女たちはひたすら
産み育てた
男の作り上げた文化の中で
男たちがこネタ文字を使い
女は太古の昔から
変わらぬ営みを繰り返している

一匹のスケがくねくね腰を振りながら
水汲み場に歩いて行った
女はそれだけでさまになってる
だけど不完全で不格好な男には
肩に担ぐ銃がいる 手に持つ本がいる
ポケットを膨らます札束がいる

ボクは哀れな男だ
いつも言葉の鎧を纏っている
権威のありかを探っている
いつも不安に苛まれ
誰彼構わず攻撃する

男が想い描くように
女はこの世界を視てはいない
彼女たちには金や名誉や
プライドや縄張りよりも
もっとずっと大切なものがある
それを愛というなら愛でもいい
生を育み受け継いでゆく営み
そういうものをしっかりと中心に据えて
女はこの世界を視ている

あなたも二つのやはらかな乳房に顔をうずめ
暖かな鼓動を聞きながら育ってきたのだ
くれぐれもそのことを忘れまい
中途半端な男に生まれたからには・・・