灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

3月9日

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7月6日に生まれて
3月9日に死んだ

陽気な人だった

踏まれても踏まれても
笑っていた
そのくせ都合が悪くなると
すぐ家出した

極寒のシベリアの収容所でも
灼熱の溶鉱炉の作業でも
幼い子を残して妻に先立たれた時も
右半身不随になって
何も喋れなくなっても
いつもオドケテ笑っていた

酒を呑んで帰ると
鶏が首を絞められたような歌声で
町内中の人が起きたよね

十数年前の3月9日に
私の腕の中で旅立って行った
死に顔もやっぱり笑っていた

カケガエノナイ
大切な