灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

女の子は忙しい

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皆が手を取り合って歌うので
盛り上がった会場をあとに
裸の王様は出発する


皆が口をそろえて褒めるので
道中も王様は上機嫌
寒さも暑さも感じない
堂々と歩いてゆく


傍から見るとその姿は
どことなく滑稽にみえる
裸の王様と取り巻き達の一団は
お構いなしにズイズイと進んでゆく



もう王様も裸である事に気付いている
その事に取り巻き達も気付いている
誰もが疲れて倦み始めている
だが列は続いてゆく

ちっちゃな手で
王様を指差して
王様は裸よ!という筈の
女の子は塾とゲームで忙しい

皆の衆 目覚めよ
杖をついてそう怒鳴る
老婆もデイケアーの車が
何処かへ連れ去る


本当の事を言う者のいなくなった社会


止まらない茶番は続いてゆく
ただ倦みだけが蓄積されてゆく