少し転んでも塵を払いながら起き上って
また漕ぎはじめる
目が見えなくなっても歯が抜け落ちても
にこやかに笑って手探りでまた漕ぎはじめる
遠くを見ていても仕方ない
いま此の船に乗り合わせた連中を大事にしょう
助け合い労わり合って
此の船の中を快適にしよう
総てはそれに尽きる
屈託のない愉しい時間を皆と共有して
歌を歌いながら
精一杯船を漕いでゆく
ある時は波にのまれ流され
ある時は鏡の様な水面をすいすいと
船が何処に行くのか
水平線の向こうに何があるのか
誰も知らない
ただ今を
この瞬間を
悔いなく生きるだけ
そおして時が来れば
静かに船べりから消えてゆく
少しだけ微笑みながら
手を振ってね