灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

朝日が眩しいだけ

あなたは唐突にとまるがいい 突然ではいけない
客体ではなくあくまでも主体に意識をおきなさい

そう あなたは唐突にとまる
あなたの自我がほんの刹那 あなたをはみでる
あなたは自我の領域を外れ 
無意識のままその場に倒れこむ
 
みなさい自我の引き攣った醜いかお 
それがあなただ
自我は瞬時にあなたに戻る 
そして何事もなかったように振舞うだろう

けれどもそれはうまくいかない 
一秒の何万分の一の齟齬が
刹那の億千万分の一の誤謬が
あなたの存在に違和感を匂わせる

みずからとおのずから
その相克する双頭児はその微かな匂いを糧に成長をとげる 
すべてはあなたのこころの中に生じる現象なのだ

あなたの自我はこの日に日に成長をとげる双頭児の世話に明け暮れ疲れ果てるだろう 
とまれ 明け渡しの日は近い
困窮した自我が消滅するとき 
唐突にあなたはあなたに戻る

あかえりなさい 
あなたはもとからそこにいて
何も変わっていない 
ただほんのすこし朝日がまぶしいだけ
朝日がまぶしいだけ


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