灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

今日からボクは(しらふでシュラフの続編)

今日 ボクの新しい仕事が始まった
ボクはくたびれた中年であるけれども生きてゆかねばならない
いつまでも行政に甘えてはいられないのだ
どんな仕事でもよかったのだ
けれどもこの不況ではどんな仕事もなかったのだ
年が明けてからの職探しの日々 焦りと苛立ちの毎日
無力感と身の不遇をかこつ毎日
そんな中ある日救いの神が現れたのだ
「あなたリフトの運転できますか?」
「ええ 免許はないですが ひと通りの運転はできます」
「力仕事は支障ないですよね?」
「ええ 机に着く仕事や営業より性に合ってます」
「それでは紹介状を書きますからここへ行ってみますか?」
ボクは手渡された求人票を見た

会社名はM青果有限会社 職種は青果物の仕分け及び配送となっている

(野菜なら不況にもあまり関係ないかもしれない)そんな思いがボクの頭をかすめた
「お願いします 青果店ってもしかして八百屋さんなんですか?」
「ええ 八百屋といってもそこは卸やさんです おもに学校給食の仕事をやってるみたいですよ」
「給食!給食かあ あ あのう是非お願いします」給食と聞いた時ボクの頭の中には懐かしい小学校時代の事が思い出された 三角巾にマスク割烹着のようなエプロンを付けて給食室から運んだミルクやおかずの入った容器のあの重さ熱さ あの夢のような時代 仕事を通して給食に係るのは素敵なことのように思われたのだ
                              つづく