灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

幾度でも失敗する

公園のベンチで話しかけてきた80はこえると思われる白髭の老人は一頻り鳩の話をしたあとでおもむろに話題を変えた。

欲しがりません勝つまではとか非国民とか第二次世界大戦末期のこの国の状況を直に知っている人はもう殆どいないとおもう。私にしても当時はまだ幼かったから遠い昔に父や母から聞いた生の話の記憶しかない。

馬鹿な事をしたもんよ、何百万も無駄死にさせて、繰り返さん事あんたちによういうとかんといけん!父も母もそう言って話を締めくくった。

この国の今の状況は当時と何も変わらない   お上の与える情報を疑う事もせず、ありがたく鵜呑みにする習性!

国がこれが良いと言えば、吟味も検証も咀嚼もせずに、競ってそれを採り入れるバカさかげん、幼稚園児のような知能程度、こんな国は何度でも痛い目にあって滅びるだろう。

それはワクチンの事ですか?

そう聞いた私に老人はフッと溜め息をついた。

それから老人はまた柔和な笑顔に戻ってまたはとの話をはじめた。

腰を上げベンチを後にするとき、

とにかくレベルが低い!

そう吐き捨てるように言った

その眼光は鷹のように鋭かった。