灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

厭な気分

白人と黄色人種の対決する八百長プロレスを皆が歓声をあげてみている

白人が正義の味方で、東洋人は悪役で

今世紀最大のタイトルマッチ

場内は大歓声!激をとばす人々の間をたくさんの売り子が毒饅頭と毒コーラを手に走り回っている

皆興奮して飛ぶように売れている

泡を吹いて倒れるもの

白眼を向いて息絶えた者は素早く担架で運び出される

ロイヤルボックス

じっとみつめる興行主にいつの間にかテレポートしたヤーブェが話しかける

順調かね?

頗る…

明日にはここも静かになるでしょう

 

心の柔らかさと視界の広さでこの世のみえ方は幾重にもかわる

それにしてもこの厭な気分はなんだ

すぐその先が奈落の底のような

耐えきれない不安は何故だ

まるで絶え間なく尿管を打つパルスのような苦痛から解放される日がくるのだろうか

地球が宙に浮いている事  誰もがそれを忘れている  それでも時折耐えきれない不安に魘われる  やり切れない厭な気分になってしまう

見方によっては我々はただのゴミなのか