灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

中央線上の猫

早朝の国道のど真ん中に
その猫はいた
中央線上に
潰れた下半身を
横たえ
捻れた上半身を起こして
行きかう車を
シャーシャーと
威嚇していた
折しも朝のラッシュが
始まる頃で
行きかう車は
数を増しスピードを増し
誰も止れる状況ではなかった
気付いたものは
眉をひそめ
先を急いだ

それでも止るべきだったのかもしれない
排水管に落ちた猫をコンクリートを砕いて救う
それが良心というのなら
あの猫を見殺しにしたボク達は皆失格だ
言葉では繕えない

不条理 不節理 不倫理 不干渉 不感性
ボク達は沢山のnoの中に生きている
そして蝕まれている


国道をうまく渡った猫
それだけが生き延びれる社会

それが現実なのだ