灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

話にならない



ある日異星人がやって来て
ガオォ~~って脅した
老婆はそれを見て
あほくさ!飯でも喰ってくかといった
異星人は仕方がないので
老婆の家で夕飯をご馳走になった
切干大根とブリの煮付けがうまかった
侵略するのは次でもいいか
そんな事を考えながら二杯目のおかわりをした

食べ終わると
風呂さ入っていくべ
と曲がった腰を上げた
勧められるままに風呂にはいった
中流してやるべ
そう言って老婆は鱗がびっしりの
背中をたわしでこすった
あまりの快感にうっとりした

風呂から上がると
床がのべてあった
用意されたピンクのネグリジェを着て床に入った
家出した嫁が残していったものだ
ところでオメェ見かけねぇ風体だがどこから来なさった
異星人は黙って空を指さした
ほうそうだか それは遠いところをお疲れさんでがしたの
老婆は歯のない口を開けて笑うとぺこりと頭をたれ襖を閉めた

異星人は布団の中で
明日からは侵略者らしくしようと故郷の星に誓った
珍しく母の夢をみた
それは幸せな夢だった
長旅の疲れと慣れない布団で
異星人は沮喪をした

あくる朝
濡れた布団を老婆に見つかる前に
異星人は早々にこの星を後にした

枕元には彼らの言葉で
バアちゃんごめん また来るよ
と書かれた紙がおいてあった

無論老婆は知る由もなし


どこからきなさった?
道行く野良犬に声をかける

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