灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

no4 初夢

 あれはもう十年くらい前の事。
正月2日の夜に見る夢を初夢と言うが、その年N氏は海辺に近い松の生い茂る小山を掘ると、ザクザクとお金が出てきた夢を見た事があった。
これから始まる一年がどんな素敵なハプニングが待ち受けているのか、N氏はワクワクしながら1年を送ったけれど結局夢に値する程の事は起きなかった。
起きた事と言えばロト6で4等9000が当たったことぐらいで、それもその年ロト6に使ったお金の額を考えれば、何パーセントかが還元されたに過ぎなかった。
これは後で知ったのだが、夢占いではお金に関しては 逆の意味に解釈する事が通例の様だ。つまりお金を得る夢は失う事を暗示し、失う夢や与える夢がお金を得る事を意味する様だ。
それを知ったN氏はなんとか大金を寄付する夢を見ようと思ったのだが、なかなかうまくいかない。
ちなみにN氏が今年見た夢は丸々と太ったピンク色の猪の子供に追いかけられる夢。
でも猪はN氏に飛びかかろうとした瞬間に落とし穴に嵌まり、N氏は逆にその猪を捕まえた。
気絶した猪を穴から担ぎあげる時の丸々とした温かい感触があまりにもリアルでN氏は眼を覚ました。
やれやれどんな1年が待ち受けているのかN氏はベットの中で溜息をついた。