灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

黄色い自転車

いつの間にか無くなっていた

 

黄色い自転車

 

晴れの日も  雨の日も

 

何処ヘ行くのも

 

一緒だった

 

黄色い自転車

 

お気に入りの奴だったのに

 

いつの間にか

 

持ってることに慣れてしまって

 

粗末に扱うようになり

 

知らないうちに失 くしてしまった

 

今日その事に気がついた

 

何処で失くしたのだろう

 

記憶の糸を手繰ってみるけど

 

わからない

 

誰か私の黄色い自転車を知りませんか

 

何処かで見かけませんでしたか

 

必死に探してみても

 

わからない   思い出せない

 

跨った感覚も

 

風を切る感触も

 

思い出せない

 

あれは幻だったのか

 

黄色い自転車に乗って

 

風のように走る姿は

 

夢の世界の出来事だったのか

 

………

 

黄色い自転車は

 

何かの比喩だったのだろう

 

失くしたあらゆるものの

 

或いは在りし日の私の

 

象徴なのかもしれない

 

風を切ってゆこう

 

今のからだで

 

この心で