灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

若者と老人

若者たちは貧しい
安い賃金で
奴隷のように
こき使われ
山のような
税金や年金や保険料を天引きをされ
僅かな残金で
やりくりしている
しかも必ずいる家賃
車のローンに維持費
携帯の料金
煙草ひと箱400円
今月もまた赤字
結婚なんか雲の上の話
子供なんか夢のまた夢

けれども政治家は誰も
若者のことなんか
考えない
だって若者達は新聞も読まないし
テレビのニュースも観ないし
選挙にも行かないから
票にもならない
かといってデモをする気力も団結力なく
せいぜいお笑い番組で憂さを晴らすのが関の山

そうやって
社会は益々
若者にとって
住み辛くなってゆく

一方
老人たちは
強かだ
新聞を讀み
NHKのニュウスを欠かさず見て
三人よると彼是と情報を交換し
スーパーの特売と選挙には必ず行くから
政治家は彼らの御機嫌をとる
法律や条例は彼らの意に添うように改正され
その結果
彼等は若者よりも
リッチだ
流行を追わないから衣装代も掛からないし
そのうえ食べる量も少ないから
食費もかからない
都心の一等地に
安い家賃で住める
納めたよりも
遥かに多い年金を貰える

若者たちは
老人達に
してやられてる
今の老人達を
なめてはいけない
彼等はいやしくも
アメリカやソ連や中国を
向こうにまわして戦った
大日本帝国の遺民たちなのだ
軍国主義も焼跡の闇市
建前も本音も
光と闇も
全て体験している

戦後の自由と平等最優先の
腑抜け教育の落し子の若者とは
格が違っている

そういうわけで
若者たちの受難の時代は
当分続いてゆく

エジプトのように
立ち上がるには
しらけ過ぎている
安全パイの手触りに
慣れ過ぎている
だからあなたは
通帳を腹巻に入れた老人が
鮪の刺身を肴に
ワインを愉しんでいる傍らで
カップラーメンをかき込んで
夕食を済まさなければならない

いつの日か
公務員や正社員になれる事だけを
夢見て
それでいいのか!