灰色のロバ

地球が宙に浮いていること 誰もがそれを忘れている それでも時折不安になる

やさしい破綻

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一匹の猫が爪を立てたままお辞儀をする
やあ あんたが書く詩はどうも頂けないね
猫は舌舐りをしながら慇懃無礼な物言いをする
ほほう!猫の分際で何がわかると言うんだね
私はシルクハットをとってお辞儀をする
難しすぎる・・・ 傍らのマテ貝が潮を吹きながらそう呟く
ステッキの先でそいつを突っついてブラのホックを静かに外す
男のくせにみっともない みっともない
往年のSL D51が煙を吐きながら傍らを走り抜けてゆく
ところで・・・私は咳払いを一つして集まった百均取りに話しかける
お前の書く詩はいつもそうなんだ 
怒った先生が病床から痩せこけた体を起こす
私はポケットの中のパチンコの景品を指先で数えながら
ゆっくりと始発の電車にのる 無論行先はわからない
既に車内にはAKBの憧れのハワイ航路が所狭しと流れていて
昭和の御代は火のついた大きな車輪の如くに戦争に突入してゆく
なぜ信長は比叡山を焼き討ちしたのでせう
傍らの威厳のあるこがねを貯めてそうなネズミが経済新聞を広げたまま呟く 
あいすくりん!あいすくりん!背中にタンクを背負った売り子が
内野席を駆け上ってゆく 私はケツを捲って肛門科の診察台の上にいる
だからお別れするのです 綺麗な女がそう呟いて漢字変換が突然Aにかわる
おさない私を地下室に閉じ込めた父は笑いながら中学の制服に袖を通す
何かをしながら何かをする 或いは仕掛けているのに別の何かに心を奪われる
生まれついてのゴキブリ ホイホイのなかで涙ながらに懺悔の声がする
おばあさんもうアナログのテレビは捨てたらどうですか
わてがアナログやさかい捨てられやしませんのや
傍らの入れ歯がそう囁く
押入れの中に密かに集う両生類 心は熱い爬虫類 猛禽類 ルイ13世 
菌糸銀糸に彩られオクラホマミキサーを踊ってる
ややもして 切符切りが中央通路を猛スピードで走り抜ける
何が不足か言ってごらん 太郎は飼い犬を折檻する
印鑑屋は実印を作り変えろとうるさい 
あんたの運が開けないのはこの欠けたハンコのせいですら
どうせどうせ別れというのなら死ねよと言って欲しかったと天井の蜘蛛
劣等感のある奴は他人を貶して自分の穴を埋める
ふざけた口を聞くんじゃないよ 宮沢喜一が座布団を投げる
タコス味のエビせん 世界無敵のゼロセン なんとなく味が似ている
ヤブから棒に耳に綿棒を突っ込まれる
さあ歌いなさい 第三楽章の最初から声を揃えて
不要なセールスお断り回覧板にはそうお告げがあったのじや
卑弥呼はそう呟いてアマノ岩戸にお隠れになる 
秀吉の軍勢が責め掛かる 鞭を持った団鬼六が責め掛かる
そろそろ薬が効いてきますのじゃ玄王はそう言って刺身に手を伸ばす
汽車はゆっくりと動き出してゴーシュはセロを奏で始・・・める
ワタスは深い・・・眠りに・・・・